「ラグい」という状況に陥った時、ゲーム環境に望ましくない問題が起きています。それは通信状態の問題であり、ゲームの快適さがかなり悪化している状態です。そのため、ラグに悩まされている方は、この問題を解決したいと思っているのではないでしょうか。もしその意味をまだ知らない人は、それを理解して、問題が発生していることに気付けるようになる必要があります。気付けるようになったら、やはり次は、解決するための方法が必要になります。本記事は、一般に「ラグい」と言われる状況で起きている問題について、その原因と対処法について詳しく解説します。本記事を読んで頂ければ、その状況について理解することができるようになり、自分一人で解決のための対策をすることができるようになります。
「ラグい」の意味と使い方
「ラグい」の意味と使い方について、理解することから始めましょう。それが問題解決の第一歩になります。「ラグ」とは、英語で「lag」と表記し、意味は「遅れ・のろのろ歩く」という意味であり、ゲームにおいては画面描画の遅れを指します。
「ラグ」は多人数オンラインゲームで発生する
「ラグ」は多人数オンラインゲームで発生することが多いです。このタイプのゲームでは、サーバーがプレイヤー同士の環境の状態を同期することで、同じ場所にいるという体験を作り出しています。そのため、人数が多いほど同期するべき情報が増えてしまい、プレイヤーに決定事項を伝達することが遅くなります。その結果、プレイヤー側のPCがサーバーの応答を待つ時間が増え、ラグが発生しやすくなります。
ラグとバグ
ラグとバグは似たような言葉ですが、その意味するところは全く違います。バグというのは、プログラムに悪さをする虫=bagという意味で、プログラムの問題を指します。もちろん設計上の問題・パフォーマンス上の問題もバグなので、無関係ではないものの、ラグは遅れている状態そのものを指すので、バグかどうかとは別の問題です。
ラグの症状
ラグの症状は見てわかります。以下に代表的な症状を挙げます。
・キャラクターなど、動いているものが、止まったり動いたりを繰り返す
・文字入力が短時間反応しない
・マウスアイコンが瞬間的に止まったり動いたりを繰り返す
・ロード画面が長引く
サーバーからの情報が来なかったり、画面描画が完了するのを待ったりしている間、本来連続して動くべきものが、位置や姿勢を決められずに、短時間停止します。その後、遅れていた情報がきたときに、ようやく動き出します。その結果、カクカク動いて見えます。
ラガー(ラグった人)は迷惑?
ラガー(ラグった人)は迷惑なのかどうかを考えるためには、ラグの原因がそのプレイヤーにあるのかどうかによります。ゲームの推奨環境に満たない低速回線で、無理にオンラインゲームに参加している場合は問題です。この場合の悪影響は以下のステップで発生します。
【低速回線が迷惑になる仕組み】
1.サーバーがプレイヤー全員の情報を収集する
2.サーバーはプレイヤー全員の同期をとる必要があるので、低速回線のプレイヤーからも返答があるまで待機する
3.環境内の物体同士の関係を処理し、何がどこにあってどのような状態なのか、計算する
4.全てのプレイヤーに確定した環境情報を送信する
5.プレイヤー側PCが環境情報を更新し、新しい画面を描画する
この手順2の所要時間に対して問題が発生します。いわば、低速回線のプレイヤーがサーバーの重しになり、なかなか前に進みにくい状態になってしまうのです。この場合は、低速回線のプレイヤーに非があり、他のプレイヤーにとって迷惑になります。例えば、多人数で協力するゲームでは、そのプレイヤーの存在によってチームの成績を落としてしまう要因となり、非常に嫌がられます。
ただし注意点があります。人気タイトルなどは混雑しやすく、事業者側の回線やサーバーの負荷が高いことがあります。また、その影響はプレイヤー間で平等ではなく、どの事業者で問題が起きているかによって、たまたま一部の人がラガーになっていることもあります。その点を考慮して、一見してラガーであるからと言って、即座にその個人の責任に帰す発言をしないように注意しましょう。
オンラインゲームのラグがひどくなる原因
オンラインゲームのラグがひどくなる原因を挙げます。
原因1.参加人数
ラグを発生させる最大の要素は、参加人数です。参加人数が増えてサーバーがやり取りする相手が増えるということは、あらゆる処理が増加します。その結果、多数のプレイヤーのラグが集積される状態になり、もちろん自分も巻き込まれて、大きなラグを受けることになります。
原因2.描画処理の負荷が高級すぎる
描画処理の負荷が高級すぎる場合も、大きなラグが発生する原因になります。これは、自分で利用しているPCが推奨環境ギリギリの場合に起きやすいです。このようなPCでは、サーバーとの情報伝達が充分な速度でできていても、画面を描画すること自体に時間がかかってしまうことがあります。例えば、水面の反射・陰影・テクスチャ(材質)などです。これらの要素は、リアルな雰囲気を表現するためには重要ですが、複雑な合成処理が必要なので、PCの負担を激増させます。
原因3.ネット回線が遅い
ネット回線が遅い場合については、先述の見出し『ラガー(ラグった人)は迷惑?』のところで解説したとおり、ラグが悪化しやすいです。サーバーからの情報が伝わってくるまでに、いわば、様々な情報の交通渋滞に巻き込まれやすいということです。
ネット回線が遅いときの対処法は以下の記事でも解説しています。
原因4.PCのスペックが低い
PCのスペックが低く、最低限の動作環境を満たさない場合も、ラグが悪化します。上記2番と似ていますが、これは最低限のスペックを満たさない場合です。ゲームメーカーの推奨するPCスペックは、中程度の負荷で快適にプレイできるものです。これを下回る最低限の動作環境に満たないPCでは、例えば以下の問題が発生します。
【例:最低限のスペックを満たさないPCの問題】
・CPUが低速でフレーム構築の計算が遅い
・GPU非搭載(グラフィックボード非搭載)のため画面描画が遅い
・メモリが少なく、ページングが発生する
オンラインゲームがラグい時の対策・改善方法
オンラインゲームがラグい時の対策・改善方法について、簡単なものから順番に挙げます。
改善方法1.接続先サーバーを変える
接続先サーバーを変えることが、ラグを改善する最も簡単な方法の1つです。オンラインゲームの人気タイトルになると、世界中のプレイヤーが参加するため、ラグが発生しやすいです。数万人が接続することも珍しくないので、1つのサーバーでまかなうことはできません。そのため、世界の主要地域にサーバーがあることが普通です。当然のことながら、サーバーへの物理的な距離が短い方が、短時間で情報伝達できます。ですから、混雑していないサーバーの中で、できるだけ居住地の近くのサーバーに変更すると、ラグを改善することができます。例えば、以下のように対処します。
【例:接続先サーバーを変える手順】
1.北欧サーバーに接続してプレイ
2.接続プレイヤー数が増加し、ラグの頻度も増加
3.その他の地域のサーバーを探す
4.アジアサーバーに接続する
改善方法2.描画処理設定を低画質のものにする
描画処理設定を低画質のものにすることも大事です。先述したような、無くてもプレイに影響がない高級な描画処理は思い切ってカットしてしまうと、処理負荷をかなり改善することができます。
【例:カットしてよい描画処理設定項目】
・オブジェクトの影:ON→OFF
・反射:ON→OFF
・テクスチャの解像度:高→低
改善方法3.同時に動作させているアプリを減らす
同時に動作させているアプリを減らすことも重要です。最近のPCは、マルチコアCPUが主流なので、複数のアプリを同時並行して処理を進められます。ですが、ほとんどの環境で、ネットワークへの出口は1つのLANポートであることが多く、1つの物理チップが通信しています。この場合、複数のアプリが通信処理しようとすると、1つのアプリあたりの物理チップを利用できる時間が減ります。ですから、競合する他の通信アプリを減らすと、ゲームアプリはより大きな通信時間を確保することができます。
改善方法4.ラガー常習犯をブロックする
ラガー常習犯をブロックすることも大事です。いつもラグがひどいプレイヤーは確かに存在します。知人であればブロックするのはかわいそうですが、他人であれば、特に気にする必要はありません。そのようなプレイヤーをブロックし、一緒にプレイしないようにすることは、ラグを改善できる1つの有効な手段です。
改善方法5.ネット回線を高速回線に契約変更する
ネット回線を高速回線に契約変更することも、ラグを改善する有効手段の1つです。特に、無線回線・メタル回線を光回線に変更することは効果が高いです。オンラインゲームをするときはほとんど自宅でプレイするという方は、光回線がベストです。
改善方法6.PCの性能強化
PCの性能強化もラグの改善に効果があります。強化する場合の効果を、例として部位別に挙げます。
【例:PC性能強化のポイント】
・CPU:グラフィック以外の処理速度アップ
・GPU:フレーム構築・画面描画の速度アップ
・RAM:CPUがデータを沢山使う場合の速度アップ
・SSD:HDDをSSDにすると、プレイ中のロード処理の速度アップ
オンラインゲームの回線速度で計測すべき項目
オンラインゲームの回線速度で計測すべき項目を挙げます。
・上り回線速度
サーバーに情報伝達する速度なので、オンラインゲームではとても大事です。事業者回線のサービスとしては、上り帯域幅は下り帯域幅よりも少なく割り当てるので、実測値だけでなく、契約内容も見直す必要があります。
上り速度の改善は以下で解説しています。
・RTT
これもサーバーとの情報伝達の速度に関する情報なので重要です。RTTには上り回線速度と下り回線速度も含まれます。これが急に悪化した場合は、サーバー側か、別のプレイヤーに問題があることが多いです。
ターンアラウンドタイムは以下の記事でも解説しています。
・パケット損失
パケット損失が多いと、サーバーに伝えたい情報を再送しなければならないので、通信時間が長くかかってしまいます。
パケット損失は以下の記事でも解説しています。
・下り回線速度
サーバーから情報を受け取るのに必要な性能になります。ゲームの映像はストリーミングではないので、上り回線速度が充分な速度であれば、下り回線速度は必ずそれより高いので問題ありません。
下り速度の改善は以下で解説しています。
・ジッター
ジッターが大きいということはパケット間隔が広がるので、一連のパケットが全て到着するまでの待ち時間が長くなります。ですが、ゲームにおいてサーバーと情報伝達する際には、サイズが小さいメッセージをやりとりするので、他の要素と比較して問題は小さいです。
ジッターは以下の記事でも解説しています。
ラグを起こさないために必要な回線速度(通信速度)
ラグを起こさないために必要な回線速度(通信速度)の目安を、参考として挙げます。個々のアプリによってメーカーが推奨している回線速度は異なります。
・リアルタイムアクションゲーム(FPS・格闘ゲームなど)
上り回線速度:10Mbps
下り回線速度:10Mbbps
RTT:10ms
・非リアルタイムゲーム・非アクションゲーム(RPG・パズルゲームなど)
上り回線速度:1Mbps
下り回線速度:1Mbps
RTT:50ms
まとめ
オンラインゲームにおいては、サーバーが多数のプレイヤーの間で同期を取る場面が多いです。そのため、自分の回線速度だけでなく、関係するプレイヤーの回線速度の影響も受けます。ですから、自分の身の回りでできる対策だけでは改善されない場合もあるということを、頭に入れておきましょう。そのうえで、本記事を参考にラグに対する基本的な対策をして頂ければ、多くの場面で改善が見られますので、ぜひラグに困っている方は実施してください。