Jitter(ジッタ)とは?意味と計測方法

Jitter(ジッター)についてどのような影響があるかよくわからないと、それに起因する通信遅延が謎になってしまい、対策をとれないまま放置することになってしまいます。そのようなことがないよう、本記事ではジッターの基礎知識を紹介し、その原因と対策の代表的なものを紹介します。本記事を読んで頂ければ、基本的な対策を検討することができるようになります。電子回路の専門知識をあまり持たない一般的なネットワーク利用者にとって、実施可能な対策方法について取り上げます。

Jitter(ジッター)とは?

Jitter(ジッター)とは一体何だと思いますか?ここではジッターを理解するための初歩として、まず言葉の意味と単位を確認しましょう。

Jitter(ジッター)の意味

Jitter(ジッター)の意味は、英語で「いらいらする・落ち着きがない」というものです。元々、電子回路の信号処理において、信号波形に時間軸上にわずかな前後のずれが生じる症状を指していました。それが転じて、ネットワーク通信分野では、パケットデータの時間軸上のずれを指すことになりました。信号自体にジッターが生じること、パケットの時間位置にずれが生じること、この2つの意味でジッターという言葉が使われています。

Jitter(ジッター)の単位

Jitter(ジッター)の単位は、秒[S]です。時間軸上にどのぐらいずれたのかを表すからです。多数の信号のジッター量を、平均して表します。ジッターというのは、「なぜそうなるのか」という原因を確定することができない部分が多い現象です。ですので、絶対的な目安というものはなく、単にできるだけ小さく、受信側で遅延が発生しない程度が望ましい、という評価をするのが現実的です。

Jitter(ジッター)による影響

Jitter(ジッター)による影響は、パケット単位の到達時間の遅れです。パケットを送受信する際、受信側は到着してくるパケットが一式揃うまでバッファに貯めます。

<症状の具体例>
・受信側がパケットの到着を待つ時間が伸びる
・ネットワーク経路上の装置総数分の遅れ時間が累積される
・最終的な宛先では、この累積した遅れ時間分の待機時間が発生する

ジッターによる時間遅れにより、直接影響を受けるのが、このバッファに貯める所要時間です。UDPストリームの場合、最後までパケットを待たず、不完全なデータをアプリに渡すので、音声・映像のノイズが発生します。TCPストリームの場合は、パケットの到達が保証される仕様なので、再送制御が発生します。その結果、症状は長時間の応答待ち時間として現れます。

Jitter(ジッター)とクロックの違い

Jittter(ジッター)とクロックの違いについて解説します。ジッターの意味は先述した通り、信号・パケットの時間軸上のずれです。それに対して、クロックは、「遠隔地のマシン同士が同期をとるための基準信号」です。クロックは規則的な時間間隔でならんだパルス信号の列であり、複数の独立した装置が同期して動作するために、基準装置から従属装置へと配信されます。クロックは信号そのものであり、ジッターはその信号に対して発生する症状です。

Jitter(ジッター)の計測方法

Jitter(ジッター)の計測方法を紹介します。パケット単位のジッターであれば、各種スピードテストサイトで計測が可能です。

なお、信号単位のジッターを測定するためには、オシロスコープやジッタータイミングアナライザーなどの高級かつ高度な専門知識を要する測定装置が必要であり、本記事の主旨から外れるため割愛します。

スピードテスト.jp

URL:https://xn--zcka2bjc9dzp.jp/
Meter.netという公開されたインターネットのスピードテストプロジェクトのサーバーを利用しています。世界中のテストサーバーを選択し、そこと端末との間の回線性能を測定することができるので、さまざまな場面で使いやすいサイトです。また、多数のユーザーの回線測定結果を集積した統計グラフが見えるので、わかりやすいです。

iNonius

URL:https://inonius.net/speedtest/
日本国内の学術関係者有志によって設立された、インターネットの回線性能測定プロジェクトです。大手町に設置されたテストサーバーと端末の間の回線性能を測定します。

みんなのネット回線速度

URL:https://minsoku.net/
みんなのネット回線速度も、利用者の情報を集積・共有して、統計グラフとして公開しています。地理的な特性がある程度わかるところも便利です。

Jitter(ジッター)を減らすための対策

Jitter(ジッター)を減らすための対策を紹介します。

対策1.ネットワーク装置の強化

ネットワーク装置が余裕をもって安定して動作することで、パケットの送出遅れを防ぐことができ、パケット単位でのジッターを低減することができます。ネットワーク装置を二重化したり、上位機種に交換したりするなど、性能強化することで、パケット処理速度を向上させると、安定してパケットを送出できるようになります。

対策2.負荷分散装置を導入する

負荷分散装置を導入することにより、ルートごとの負荷を均等にしたりして、一部の装置に過剰な負荷がかかることを防ぐことができます。これも、パケット処理の安定化につながるので、パケット単位のジッターを低減できます。

対策3.ノイズを減らす

ノイズを減らすことも、ジッター対策になります。メタル回線・電子機器への電磁誘導によるノイズが増加すると、その影響で信号波形が歪み、信号単位でのジッターが増加します。具体例としては、以下の方法があります。

メタル回線部分を光回線に変更する

メタル回線は電磁誘導の影響を受けやすいです。そのため、メタル回線部分を光回線に変更することで、ジッターも減少します。メタル回線を契約している方は光回線への契約変更が有効です。構内LANケーブルが長い距離配線されている方は、光回線をできるだけ利用場所近くまで敷設することが有効です。

UTPケーブルをSTPケーブルに変更する

LANケーブルが数十m以上の長距離に渡るUTPケーブルの場合、STPケーブルに変更すると、シールド構造を持っているため、ノイズ対策になります。ただし、両端の装置が筐体接地を施していないと効果がないため、その点をしっかり確認しましょう。

ノイズ対策性能の高い製品を採用する

ノイズ対策性能の高い製品を採用することも、ジッター減少に効果があります。電子機器は、EMI(放射電磁雑音)に対する自主規制規格として、VCCIという規格を取得していることが多いです。このクラスがより高い製品を採用するなど、EMI対策が良好な製品を導入すると、ジッターが減少します。

まとめ

Jitter(ジッター)という言葉のわかりにくさは、デジタル通信の信号波形であるパルス信号そのものに対して発生している症状と、その集合体であるパケットデータに対して発生している症状が、混用されているように見えることに起因しています。記事の執筆者はどちらかの文脈で記述していますが、ジッターとは何か、ということを初歩から知りたい方には両方の情報が目に入るので、わかりにくいのです。本記事ではその点を明確にしつつ、一般性の高い知識を紹介しました。ぜひ本記事を参考に、ジッターについて理解を深め、改善策を実施してみてください。

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