リフレッシュレート(hz)が高いとは?液晶モニタの性能を解説

リフレッシュレートは液晶ディスプレイ製品を選ぶ時に高い値が書いてあっても、それが何なのか、本当に必要なのかわからないという方はいませんか?本記事ではそんな悩みを抱えている方のために、リフレッシュレートとは何か、用途によって適した値はどの程度か、正しく使うにはどうすればいいのかなど、リフレッシュレートに関する基本的な知識を解説します。本記事を読んで頂ければ、疑問が解消され、自分で適切なリフレッシュレートの液晶ディスプレイ製品を選ぶことができるようになります。

「リフレッシュレート」とは

リフレッシュレートとは何か、基礎知識について解説します。リフレッシュレートは、名前の通り、リフレッシュする頻度、ということになります。つまり、テレビやPCモニタなどの映像を表示する装置が、画面を更新する回数を表しています。製品のグレードによって様々な速度があり、同じ製品でも複数のリフレッシュレートに対応しているものがあります。

液晶モニタ(ディスプレイ)が1秒間に画面を更新する頻度

液晶ディスプレイが1秒間に画面を更新する頻度(回数)を、Hzという単位で表記したものがリフレッシュレートです。これは高いほど多く画面を更新することができるので、滑らかな動きを表現できます。反対に低いと、1枚の画面を見ている時間が長くなるので、カクカクした動きになってしまいます。

ディスプレイのヘルツ(hz・周波数)=リフレッシュレート

ディスプレイの表示性能の中でHzが出てくるのは、リフレッシュレートだけです。電磁波など周期性のある波の繰り返し回数、すなわち周波数は、同じ単位で表しますから、ディスプレイの周波数=リレッシュレートと言うことができます。

ヘルツ(hz)

ヘルツとは、電波を発見したドイツの物理学者の名前に由来し、電波・波浪・音波などがもつ周期性を表現する単位として国際的に使用されています。

垂直走査周波数(走査周波数)

リフレッシュレートは、垂直走査周波数とも言われます。左上端の画素データから右上端の画素データまでが1本目の走査線で、これを上から下まで並べると、1画面が完成します。これが1画面分のデータの並び方であり、垂直走査の順序でもあります。この垂直走査を1秒間に何回繰り返せるか、という値が垂直走査周波数です。

高リフレッシュレートと高画質の違い

高リフレッシュレートと高画質は、少し意味が違います。高リフレッシュレートはディスプレイの動作速度で、高画質とは、データが高解像度・高フレーム数であることを指します。高リフレッシュレートのディスプレイは高画質映像を表示しうる能力がありますが、映像データが十分な速度で供給されない場合、高画質表示にはなりません。

リフレッシュレート(hz)とフレームレート(fps)の違い

リフレッシュレートとフレームレート(fps)の違いはわかりにくく、混用されます。フレームレートは、厳密には動画データに含まれる1秒あたりの静止画の数です。ゲームの場合、リアルタイムに画面データを構築しており、そのFPSを画面表示することがあるため、リフレッシュレートとFPSの混用が起きやすいです。

フレームレートは以下でも解説しています。

リフレッシュレート60hz・144hz・240hzはどれくらい?

リフレッシュレートには60hz・144hz・240hzなどがありますが、それぞれどの程度の速さなのかわかりにくいので、解説します。

・60hz
60hzは、人間の目が『仮現運動』を認識し、静止画の中の物体がまるで滑らかに動いているように感じる速度です。動画の最低限のフレームレートと同じ水準です。

・144hz
144hzは、アナログ信号とHDMI規格の間の世代であるDVI-D規格における最大リフレッシュレートです。最新の4K・8Kには弱いですが、それに準ずる精細度で最も快適に感じられる速度と考えるとわかりやすいです。

・240hz
240hzはHDMI規格の最大リフレッシュレートです。体感的にどのぐらい違うのかという点については、個人差もあるので比較が難しいですが、リアルタイムなシューティングゲームで、プロレベルでも最も快適なのは240hzと言われています。また、4K・8Kを見る場合にも、充分な快適さで見ることができます。

最適なリフレッシュレート

最適なリフレッシュレートを用途別に紹介します。

動画

動画は創作物なので、内在するフレームレートは作者の意図によって異なります。となると、見たい動画に合わせたリフレッシュレートが必要になります。一般的な動画のフレームレートは30fpsか60fps、映画作品で24fpsですから、これらのリフレッシュレートに対応した製品での視聴が適しています。

iPhone(スマホ)

iPhoneの場合、リフレッシュレートは60Hz固定ですので選択肢はありませんが、HDTVでも60pなので、一般的に問題ないレートです。一方、Androidでは60・90・120・144Hzなど、テレビのように多彩なリフレッシュレート製品が市販されています。視聴したい動画コンテンツがスポーツ中継など動きが激しい場合、120以上がおすすめです。

Win10

Win10はGUIベースのOSなので、滑らかな画面表示は快適さに繋がります。とはいえ、常にGUIを動かし続けることは無いので、視覚的な滑らかさの最低水準である60Hzが最適です。ちなみに、OSが設定画面で表示するリフレッシュレートは、OSそのものの性能ではなく、ディスプレイがOSに提供している情報ですので注意しましょう。

テレビ

テレビ放送に適したリフレッシュレートとしては、インターレース放送・プログレッシブ放送両方に対応できる60Hzが基本です。もし4K・8K映像を視聴できるようにしたい場合は、もっとハイレートにしましょう。ただし、画面解像度を上げると描画データが増えるので、リフレッシュレートは落とさなければいけなくなります。ですので、映像信号ケーブルと画面解像度の組み合わせで実現可能な最大リフレッシュレートを確認し、視聴したい条件に合ったスペックの製品を選択しましょう。

肉眼

肉眼では、アナログ放送時代から60Hzで問題なくスポーツ系放送を視聴できていたので、最低水準は60Hzと考えてよいです。上限値については、質感の違いを感じるかという観点では、最高240Hzという意見が多くあるものの、科学的な結論は出ていません。

リフレッシュレートが異なるモニタをデュアルディスプレイにできる?

リフレッシュレートが異なるモニタでも、デュアルディスプレイにできます。ただしOSとリフレッシュレートの組み合わせ次第では、低速なリフレッシュレートに合わせられてしまう現象が報告されています。ですから、デュアルディスプレイにしたい方は、事前にハイレートで問題なく動作した報告があるのか、いつのものか、などメーカー情報と実体験の両方について、入念な調査が必要です。

リフレッシュレートが高いとゲームで有利?

リフレッシュレートが高いとゲームで有利になる場合があります。それは、リアルタイムに競争するタイプのゲームです。

高リフレッシュレートで有利になるゲーム

高リフレッシュレートで有利になるゲームを具体的に挙げると、以下のとおりです。ほとんどがシューティング・ゲームになっています。

FPS(ファースト・パーソン・シューティング)・TPS(サード・パーソン・シューティング

CoD、荒野行動、PUBGなどの1人称および3人称のシューティング・ゲームです。これらは精密な照準動作が必要で、照準は数ピクセルレベルの精度を要求されるため、少しのずれや遅れが命取りになります。また高速な画面旋回も必要です。この動作はフレーム間の変化が非常に大きいので、最も性能を要求されます。

格闘ゲーム

格闘ゲームは瞬間的な動体視力と反射神経が必要とされます。リフレッシュレートが不足していると物体の移動がワープして見えたり、間合いを見誤ったりしやすくなるので、不利になります。

コンバット・シューティング

コンバット・シューティングとは、戦闘機で銃撃戦をするゲームです。FPSと同様で、フレームレートが遅いと不利になります。敵に銃弾が命中したはずが、当たったはずが、実際は敵がわずかにずれていて外れる、ということが起きやすくなります。

2D弾幕シューティング・ゲーム

2D弾幕シューティング・ゲームも、大量の弾幕をかわすために微細な位置調整が必要とされるため、リフレッシュレートが遅いと制御しきれず、被弾しやすくなります。

ゲーマーのリフレッシュレート目安

ゲーマーのリフレッシュレートの目安は、リアルタイム性が要求されないゲームでは廉価な60Hzで問題ありません。リアルタイム性が要求される場合は、映像信号伝送ケーブルがDVI-Dなら144Hz、HDMIは多数のレートに対応していますが、最大で240Hzまでありますので、予算の許す中で最高のものにすることをおすすめします。

垂直同期(V-SYNC)で高速になる?

垂直同期信号(V-SYNC)をONにすると、GPUが1画面データの構築完了するまで、モニターが待機するようになります。その結果、GPUのもつフレームレートが支配的になりますが、それが充分高速であれば、問題なく滑らかな画像が表示されます。ところが、GPUのフレームレートが遅いと、描画を待つ時間が長くなります。これは、古い描画データを表示し続ける時間が長くなることを意味するので、カクツキ(ラグ)が起きます。したがって、V-SYNCをオフにした方が待機時間が無いため高速です。ところがこちらにも弱点があります。V-SYNCがオフだと、画面の表示の途中で描画データが完成したとき、そこから新しいフレームの描画を始めるので、1画面内で異なるタイミングの描画データを表示することによる画像ずれ(テアリング)が起きます。こうしたことから、最善なのは、V-SYNCオフで、テアリングを最小限にできる高速なリフレッシュレートのモニタを使用することです。

液晶モニターのリフレッシュレートを確認する方法

液晶モニターのリフレッシュレートを確認する方法について紹介します。

PC

後述の『液晶モニターのリフレッシュレートを変更する方法』の解説と同じ手順で確認もできますので、そちらを参照してください。

iPhone

iPhoneのリフレッシュレートは現在のところ60Hz固定です。将来の端末ではマルチレートになる可能性があり、その場合は設定画面から確認・変更できるようになることでしょう。

Android

https://smartttphone.com/refreshrate/
アンドロイドは、開発者用ツールがインストールされているので、それを使って確認することができます。わかりやすいサイトのURLを記載しましたので、そちらを確認してください。

液晶モニターのリフレッシュレートを変更する方法

液晶モニターのリフレッシュレートを変更する方法を紹介します。

Win10

Win10の手順は以下の通りです。

1.画面左下端にあるWindowsメニューの中から、『設定』を選択
設定

2.設定画面の左上にある『システム』を選択
システム

3.『ディスプレイ』の項目を表示
ディスプレイ

3.『ディスプレイの詳細設定』を選択
ディスプレイの詳細設定

上の画面のように、『更新間隔』の欄で、変更可能なリフレッシュレートを選択できます。画面解像度によって最大リフレッシュレートが制限を受けるので注意しましょう。

高リフレッシュレートには高性能PCが必要か

高リフレッシュレートにする目的は、視聴体験をより良好にするためです。その性能を活かすには、充分な速度で映像信号を伝送できるケーブルと、そこに信号を送るマシンパワーが必要になります。ですので、高リフレッシュレートのディスプレイを活用するには、DVI-DやHDMI端子を搭載したPCが必要です。

まとめ

コンピューターにおける画面表示系は、(1)描画データ構築(2)モニタへの転送(3)モニタの描画という処理が並列に動作しています。最も負担が大きいのがソフトウェアが介在する描画データ構築で、最も高速なのは専用ハードウェアが処理するモニタの描画です。この2つの速度がうまく協調しないと、描くのを待ちすぎたり、待たないで勝手に描画したりして、視覚的不快感が生じやすくなります。ですから、モニタのリフレッシュレートを最大限活用してゲームの勝率を上げたいと考える方は、メーカーの最新技術や実際に使ってみた体験談の調査を欠かさないようにしましょう。一般的な動画視聴など、それほどリアルタイムな操作精度が要求されない場合は、適度なフレームレートの製品で充分です。自分の目的に応じて、最適な製品を選ぶようにしてください。