アップロード速度が遅い場合、どうすれば通信速度を改善できるのでしょうか?通信速度の改善は、ネットワーク上に存在する様々な要素が関係するので、簡単に対処できるものとできないものがあります。本記事では、アップロード速度が遅い場合にどこを見るべきか、用途別に代表的な事象について、基本的な事柄を紹介しています。本記事を読んで頂くと、闇雲に機器の再起動や交換をするのではなく、具体的に方策を考えることができるようになります。また、キャリアに回線の障害が無いか問い合わせるために必要な情報を集め、説明できるようになります。
アップロードには「上り」速度が大切
アップロードには「上り」速度が大切です。事業者の回線サービスには上りと下りがありますが、速度は対称ではありません。アップロードは回線利用者から事業者側(インターネット側)に向かってデータを送信することなので、上り回線速度が関係します。下り回線よりも小さな帯域幅を割り当てられてしまうため混雑しやすいですが、オンラインゲームのような双方向通信が必要な用途では、上り回線が遅いとストレスになります。
上り速度を計測する
上り回線速度を把握するには、回線速度計測用のスピードテストサイト、またはアプリを使用します。サイトもアプリも数多くありますので、色々試してみましょう。
アップロードだけ遅い?こともある?
現在普及している通信回線はほとんどが全二重方式です。これは上りと下りで物理的に異なる回線を使用します。上りと下りで異なる制御ポリシーを適用できること・上りと下りで混雑状況が異なること・データを受信するサーバーの入り口で混雑すると帯域幅に関係なく通信に支障をきたしやすことから、アップロードだけ遅いこともあります。多くの回線利用者に対して下り帯域幅を多く割り当てるので、ダウンロードはできているのにアップロードはできない、ということは珍しくありません。
アップロード速度が重要になる場面と目安速度
アップロード速度が重要になる場面と、目安速度を解説します。
クラウドサービス
クラウドサービスは、個人用途としては、動画・写真のバックアップストレージか、Youtubeなどの配信用動画としての利用が多いです。個人用ホームページは個々のファイルサイズが小さいことが多いのであまり問題にはならないでしょう。目安としては、1Mbps程度の速度が出ればアップロードに支障はないです。
ゲーム配信・ニコ生
ゲーム配信・ニコ生ではライブ配信ではない場合のアップロード速度は問題になりません。ライブ配信の場合は映像を高速にサーバーに配信する必要があり、アップロード速度は重要になります。下り回線と同等程度で、10Mbps程度は必要です。
配信の回線速度は以下で解説しています。
オンラインゲーム対戦の双方向通信
オンラインゲーム対戦の双方向通信では、一方がホストになるので、処理負荷が高くなりますので、より遅延を許容できない条件になるため、回線速度もより高いものが要求されます。回線速度そのものは上り1Mbps、下り10Mbps出れば充分ですが、ping値が100ms前後だとかなり通信に支障が出やすいです。
上りが遅いならまず「インターネットの接続を確認」
アップロードが遅い時は、インターネットの接続を確認することが最初のステップです。自分の利用している機器やサービスの設定であれば、対応に時間がかからないので必ず最初に確認しましょう。
配線状況を確認
配線ケーブルの抜けが無いか確認しましょう。通信ができないためにいつまでも問い合わせをし続けたり、応答がないことを速度の問題と思い込んでしまうこともあるので、まずはLANケーブルの抜けが無いかなど、手近な配線状況を確実に把握しておくのが第一歩です。
ルーターの親機が正常に動作しているか
ルーターの親機が正常に動作しているか、点灯状態を確認しましょう。老朽化など不具合で通信状態が悪化している可能性があります。正常に動作していない場合は、再起動し、それでも復旧しないようならレンタル元・製造メーカーに問い合わせましょう。故障していたら交換が必要です。
ネットワークの帯域制限
ネットワークの帯域制限が原因でアップロードが遅い場合もあります。キャリア側の装置で制御するため、わかりにくいです。キャリアの公式アプリや公式サイトで、帯域制限を受けていないか、通信状況や契約内容を確認しましょう。
帯域制限は以下で解説しています。
ネットワークの混雑状況
ネットワークの混雑状況の影響でアップロードが遅い場合は確認が難しいです。利用時間帯を変えてみましょう。ネットワークトラフィックの監視ツールを導入することも有効です。
夜にインターネットが遅いときの対処法は以下で解説しています。
アップロード先のサーバーに問題がないか
アップロード先のサーバーに問題がないか確認することも大事です。特に世界中の人が利用するサービスは、サーバーを強化してもデータ回線の大容量高速化のため、常に負荷が高い状態です。負荷が集中して低速になっていないか、メンテナンスをしていないか、障害が発生していないか、公式ホームページで確認しましょう。
アップロード速度が遅い場合のサービス別の考え方
アップロード速度が遅い場合の、サービス別の考え方を紹介します。どのサービスを使う場合でも、データサイズの問題なのか、回線側の問題なのかをわかりやすくするため、通信速度の計測も必要です。
YouTubeのアップロード時間が長い・終わらない
YouTubeのアップロード時間が長い・終わらないという場合は、解像度を減らす・圧縮率の高いファイル形式にする・動画を分割するなど、動画のサイズを必要最小限にする工夫をしましょう。AVI形式は非圧縮で非常にデータ容量が高いので、他の形式を検討することをおすすめします。補足として、Youtubeのように世界中の人がアクセスするサービスは、どの時間帯も混雑しやすいです。
YouTubeが遅いときの対処法は以下で解説しています。
PS4でアップロードだけ遅い
PS4でアップロードだけ遅い場合は、回線側の問題を疑いましょう。PS4はグラフィック処理に特化した高性能パソコンのようなものですから、端末の原因でアップロードだけ遅いということは考えにくいです。
Googleフォトのバックアップが遅い
Googleフォトのバックアップが遅いときは、写真・動画のサイズが大きすぎるか、回線が混雑しています。特に動画が高画質でサイズが大きすぎるということがないか確認しましょう。また、不要なファイルは削除するなどして、バックアップを回避しましょう。
ギガファイルが遅い
ギガファイルが遅い場合は、複数のファイルをアップロードしてみましょう。どれもアップロードが遅い場合は、回線のどこかで混雑や故障などの問題があります。特定のファイルだけ遅い場合は容量が大き過ぎるので、分割することを検討しましょう。
iクラウドが遅い
iクラウドが遅い場合は、大容量データや、多数のデータをバックアップしようとしている可能性があります。例えばゲームアプリなどは数GBに達する物も珍しくありません。全てのデータを一律にバックアップする設定にしていると、大幅に時間が増加しますので、どれをバックアップするか絞りましょう。
アップロード速度が遅い場合の対処法
アップロード速度が遅い場合、以下の方法を試してみると、問題が解決することが多いです。
対処法1.テザリングでアップロードする
テザリングでアプロードすることで、異なるキャリア回線を利用できる場合、アップロード速度が回復することがあります。この場合、テザリングのクライアント機器の接続先が変わっていることから、問題の発生個所がある程度絞り込めます。ただし、スマホの通信容量を使用しているので、契約上のパケット上限をオーバーしてしまわないよう注意しましょう。
テザリングのやり方は以下で解説しています。
対処法2.別のデバイスで試してみる
別のデバイスで試してみることも有効です。異なるルーターを使用する、異なる端末を使用する、などです。異なる端末に変えてて問題が解決すれば端末が原因ですし、解決しなければ回線側に問題があります。ただし、あまりに性能差がある端末に切り替えても原因がわかりにくいので、合わせて通信速度を測定して比較しましょう。
対処法3.アップロードデータが大きすぎる場合は小さくする
アップロードデータが大きすぎる場合は小さくしましょう。データ容量が大きすぎるとアップロードの進捗がわかりにくいため、より不満に感じやすいです。また、アップロード中に通信断が起きると、アプリケーションによってはデータをまるごと再度アップロードしなければいけなくなる場合があります。
対処法4.アップロード速度が速い回線を使用する
アップロード速度が早い回線を使用することも検討しましょう。特に、無線回線よりも光回線の方がノイズに強く、環境的な影響を受けにくいので高速に安定通信ができます。また、NURO光など、1Gbpsを超える回線サービスもあります。コストは増加することになりますので、利用目的・頻度を踏まえて現実的かどうか検討しましょう。
まとめ
ネットワーク回線は複数の事業者の自営ネットワークや設備をまたいで成り立っているので、どこに問題があるのかはその時々によって異なります。もちろん自分の機器やその設定に問題があることもあります。ですから、通信上問題があると感じるときは、身近なところから初めて、回線側の問題であると特定できてから回線事業者に問い合わせるように習慣をつけるのが妥当です。本記事を参考に、基本的なことがらについて把握したうえで、速やかに問題を特定し解決するよう、取り組んでみてください。