10Mbpsという速度は、一体どのぐらいの速さなのでしょうか?このように質問されたとき、具体的に回答することができるでしょうか。通信速度水準は、様々な値が考えられますし、なかなか明確な説明をしにくいという方もいるでしょう。本記事では、そのような方の疑問にお答えするため、10mbpsについて、各種の用途での使用感を挙げます。また、苦手な用途についても、具体的に説明します。本記事を読んで頂くことで、10mbpsを基準にして、様々な通信速度水準についても、良し悪しを判断しやすくなります。
10mbpsとは
10mbpsとは、通信速度の値です。1秒間に10✕10の6乗個=1メガビットのデジタルパルス信号を送信できる速度を表しています。
10mbpsは快適なネットの目安速度
10mbpsは快適なネットの目安速度です。これは、さまざまな用途で、標準的な推奨信速度をクリアしており、区切りが良くわかりやすい値でもあるので、よく目安にします。
回線速度の目安は以下で解説しています。
LTE・Wi-Fi・光回線の10mbpsは速い?遅い?
LTE・Wi-FI・光回線の10mbpsは速いのか遅いのかわかりにくいでしょう。あらかじめ断っておくと、実測値として10mbpsであれば、どの回線もやってることはデジタルパルス信号の送受信なので、体感速度は同じです。ただし、回線の土台となっている仕組みや設置環境によって、安定度や混雑しやすさが異なるなどの特徴があるので、同じ10mbpsでもその位置づけは変わってきます。
LTE
LTEは、高速なもので最大120Mbps程度です。中間では、30Mbps~75Mbpsなど様々で、各キャリアの設備状況によって異なります。基本的には人口密集地域で高速サービスを展開した方が利益になるので、設備が強化されやすいです。このLTEにとっての10Mbpsは、後述のWi-Fiや光回線よりも、よりありふれた状況です。
Wi-Fi
Wi-Fiの普及規格は、執筆時点ではWi-Fi5(802.11ac)で、理論値は6.9Gbpsです。これは光回線よりかなり高速なように思えますが、これは理想的な環境(電波実験室)で測定した場合の理論値です。実際の設置環境では様々な外乱があり、かつ大量の端末を同時に通信することが主目的なので、それほどの速度は出ません。ここでの10mbpsは、快適な方で、端末が高密度になる設置環境では、1~5Mbpsが普通です。
光回線
光回線は安定している回線なのですから、できるだけ高速に通信してほしいところです。光回線の理論値は、数テラビットにも達しているのですが、NTT局舎から宅内までのいわゆる”アクセス回線”は、上限1Gbpsの仕様になっています。ですが、干渉する通信は、無線環境に比較してほぼないことに加えて、固定された通信路なので、ハードウェアデバイスで高速化しやすいという強みがあるためです。ですから、通常70mbps~100mbps程度は達成できます。その中で10mbpsしか出ないと言う状況は、かなり混雑がひどい状況です。
10mbpsの速度はどれくらい?
10mbpsの速度はどれくらいなのでしょうか?以下では、10mbpsでできる代表的な用途を挙げました。
10mbpsで充分にできること
10mbpsで充分にできることは以下の通りです。
LINE
LINEは、最も通信量が必要とされるビデオ通話でも、1.5mbpsなので、実測値10mbpsであれば、快適に利用できます。
音楽
音楽であれば、ダウンロード再生よりも、ストリーミング再生の方が通信負荷が高いです。このストリーミング再生でも、高音質で500kbps程度なので、10mbpsであれば何も問題ありません。
メール
メールは画像や動画を添付しない場合、1通5KB程度ですから、ほとんど通信速度を気にすることなく利用できます。もしサイズが大きい画像や動画などを添付したとしても、ストリーミング再生方式と異なり、メールは単発で送受信すればいいだけなので、ほとんどストレスにはなりません。
SNS
SNSも、いずれも10mbpsで余裕をもって快適に利用できます。Twitter、Facebook、Tiktok、Instagramといったサービスが該当し、いずれも10mbpあれば動画投稿・閲覧も問題ありません。
電話
電話は、常時音声データが流れているストリーミング再生よりも軽量なので、全く問題なく利用できます。
10mbpsの動画・YouTube視聴
10mbpsの動画・YouTube視聴は、非常に快適です。HD画質まで見ることができます。これよりも画質が良い4Kになると、急激にデータ量が増えて、推奨速度だけで20Mbps程度なので、4K画像の視聴は支障があります。
動画・YouTubeが遅いときの対処法は以下で解説しています。
10mbpsのオンラインゲーム
10mbpsのオンラインゲームはできるかいうと、リアル低無性の低いタイプのゲームであれば、問題なくできます。オンラインゲームと言っても、短い1ミッションだけオンラインだったり、少人数でのチームプレイだけをサポートしているゲームも多く、そうしたゲームであれば問題ありません。苦手なのは、100人規模で同じプレイ環境に接続するタイプのゲームで、FPSなどを代表とするMMOです。この苦手な場合についての詳しい内容は後述します。
10mbpsで足りないケース
10mbpsで足りないケースをここでは見てみましょう。
4K動画
4K動画を見るのは推奨できません。Youtubeを例にすると、HD画質までは、7Mbpsで視聴可能なのですが、それより良い画質となると、4K画質になります。ここは大きな飛躍があり、20Mbpsが推奨されています。そのため、10mbpsでは、性能が大幅に不足しています。
大規模オンラインゲーム
FPSのような大規模オンラインゲームは10mbpsでは苦しいです。これは、メインのプレイモードが100人で対戦するモードだからです。これは、一度に大量のパケットを常時送受信するからです。上り下りともに、10mbpsであれば、快適にプレイできるようになります。
オンラインゲームは10mbpsで快適にできる?
オンラインゲームは10mbpsで快適にできるか、という疑問についてもう少し掘り下げて説明します。結論を先に言うと、下り回線速度のみ10mbpsでは、厳しいものがあります。下り10mbpsの場合、上りはより低速で、3~5mbps程度になります。そうなるとサーバーへ情報を送るための所要時間が増加するので、その分RTTが増加することになります。その結果、サーバーが1回のゲームセッションに参加している全員と高速かつ高頻度にやり取りすることを妨げてしまうことになるのです。RTTの目安としては、10ms程度が望ましいのですが、そのためには、実測値で上り下りどちらも10mbps出ていないと、快適ではなくなります。
回線速度を10mbps以上に上げる方法
回線速度を10mbps以上に上げる方法をいくつか紹介します。
1.混雑している場所を避ける
混雑している場所を避けることが、無線通信環境の場合とても有効です。混雑している場所では、同じアクセスポイントに多数の端末が接続する状態なので、通信待ち時間が発生したり、フェージングしやすいので、通信速度が低下します。
2.混在時間帯を避ける
混雑時間帯を避けることは、無線通信環境・有線通信環境のいずれにおいても有効です。これはキャリア側回線の混雑を避けるための一般的な方法です。どのキャリアが何時に混むのか、というのは利用者がどのように分布しているかによって異なるので、一般論として考えるしかありません。一般的に、会社や学校のお昼休みの時間帯、およびそれらが終了した後、16:00~22:00が混雑しやすいです。
夜に回線が遅いときの対処法は以下で解説しています。
3.廃止・縮小サービスを新しいサービスに変える
廃止・縮小サービスを新しいサービスに変えることも、1つの有効な手段です。これは意外と盲点になりやすいです。例えばメタル回線を利用している場合は、光回線に変えると大幅に高速化します。また、UQは旧WiMAX回線からWiMAX2+回線への乗り換え促進のため、利用可能帯域幅を順次縮小していますので、これも乗り換えによって大幅な高速化が見込めます。
まとめ
現在普及している規格や端末の通信仕様からすると、10mbpsという値は見劣りするかもしれませんが、実測値10mbpsであれば、ほとんどの用途で問題なく利用できるということがわかって頂けたのではないでしょうか。オンラインゲームでは、上り回線速度も重要なので、下り10mbpsだけでは充分ではありませんので、これは数少ない弱点です。本記事で解説した内容を参考にして、より通信速度についての理解を深めて頂けたのであれば幸いです。