100Mbpsと言う速度は、実際の回線速度としてどの程度快適なのか、何ができるのか、きちんと把握していますか?本記事では、それが把握できていない方に向けて、解説しています。具体的には、100mbpsが、各種通信方式によってどういう位置づけになるのかを中心に解説しており、それに付随して対策の基本になる初歩知識を紹介しています。本記事を読んで頂くと、100mbpsの具体的なイメージが掴めるようになり、それを達成するためにはどうすればよいのかがわかります。それにより、現状の通信回線契約が適切かどうか見直すきっかけを得られますし、問題が起きているときに気が付きやすくなります。
Wi-Fi速度が100mbpsは快適な通信
Wi-Fi速度が100mbpsは快適な通信ができていると考えてよいです。
100mbpsとは
100mbpsとは、通信速度のことで、1秒間に100メガビットのデジタル情報を送信できることを表しています。ビットであってバイトではないので注意しましょう。
mbpsの単位は以下で解説しています。
最大速度100mbpsは本当の速度ではない
最大速度100mbpsは本当の速度ではありません。どういうことかというと、これにはベストエフォート方式というものが関係しています。
最大通信速度はベストエフォート型
最大通信速度はベストエフォート型です。一言で言うと、「回線がすかすかの時に最高速度でここまで出ます。普段はできるだけの速度しかでません」と言う意味です。
ベストエフォート型は以下で詳しく解説しています。
最大100mbpsの回線
最大100mbpsの回線を列挙すると、以下の通りです。ご覧の通り、ほとんどのサービスで実現することができます。
・光回線
光回線は、NTTが宅内に引き込む部分の回線速度である1Gbpsが標準であり、つまり最大速度です。これを付近のNTT加入者と分け合って使用する仕組みになっています。無線アクセスポイントと比較して、同時通信する利用者が少ないので、より高頻度で100mbps付近の通信速度を達成することができます。
・有線LAN
これは光回線が宅内に引き込まれた点から、PCまでのLANケーブルに該当します。この規格は1000BASE-Tが普及規格で、最高1Gbpsまで対応しています。引き込み点から外は光回線なので、前項と同じ状況となり、100mbpsは簡単に達成できます。
・無線LAN(Wi-Fi)
最近の普及規格はWi-Fi5です。これは理論値6.9Gbpsですので、最大100mbpsは十分達成できる性能はあります。ただし、高密度用途を想定しているので、ほとんどの場合一人で独占できる設定にはなっていないので、100mbpsはあまり実現されません。10mbps程度出れば良い方です。
・WiMAX2+
UQが提供するWiMAX2+回線は、現在の最新規格で1.2Gbpsを達成しています。前項のWi-Fiと事情が同じで、多数の端末を想定しているので100mbpsの速度で通信できる機会は少ないです。夜間の通信であれば競合する端末が少ないので、達成できる頻度は向上します。
・4G-LTE
4G-LTEは概ね75~200mbpsの通信速度が出ます。これは1つの端末で測定した場合の値です。混雑した場所では大幅に速度が落ちてしまうので、100mbpsを達成するには、周囲にあまり人がいない場所・見通しが良い場所を選んで利用する必要があります。これも電波なので、Wi-FiやWiMAXと事情は同じです。
実測値100mbpsはなかなか出ない?
実測値100mbpsはなかなか出ません。なぜかというと、代表的な理由を以下に挙げます。
・多数の人が同じようなサイクルで日常生活を送っている中で利用するので、利用時間帯が重なりやすい
・1つの基地局は半径1km~2km程度の範囲をカバーするため、1端末~ごく少数の端末だけで1つの基地局を占有できるほど都合のいい状況が起きにくい
・通信の相手方であるサーバーまでの間に、多数の端末のデータストリームが合流してくるため、キャリア回線のトラフィックが低速化しやすいこと。
これらの理由が代表的です。実際にどの程度通信速度が出ているのか知るためには、スピードテストを実施してみることが有効です。
マンションは100mbpsでも遅くなる?原因は?
マンションは100mbpsでも遅くなることがあります。実測値で100mbpsであれば、実際に出ている速度なので問題ありませんが、ベストエフォートで100mbpsの場合、世帯数が多いほど遅くなります。
マンションには、通信事業者回線の引き込み点に、MDFという集線装置が設けられています。ここで各部屋への配線と、通信事業者回線が接続されます。この通信事業者回線は、マンションだからといって普通の戸建て用の回線と異なるわけではありません。
NTTの最大1Gbpsの回線が提供されていることが多いです。そうなると、マンションに入居している世帯数が多いほど低速化することになります。
100mbpsで快適にインターネットができるか
100mbpsで快適にインターネットができるかというと、「非常に快適にできる」が答えです。
動画
動画の場合、大手コンテンツ配信事業者において、ストリーミング作品の最高画質としては、4K画質の映像作品が視聴できます。これは推奨通信速度25Mbpsなので、100mbpsの実測値が実現できているのであれば、非常に快適に視聴することができます。
動画が遅いときの対処法は以下で解説しています。
オンラインゲーム
オンラインゲームでは、映像はローカル端末が処理するので、サーバーとの環境同期情報の送受信が主な通信内容になります。これはデータサイズは小さいのですが、多数のプレイヤー同士の同期が必要になるため、10ms程度で送受信する必要があります。このためには、上り下りともに概ね10mbps~20mbps程度の通信速度が必要です。下り100mbpsであれば、上りも20~50mbpsは達成できていることが多いので、非常に快適にプレイすることができます。
実測値100mbpsを出すには回線選びが大切
実測値100mbpsを出すには回線選びが大切です。これが達成しやすいサービスと、達成しにくいサービスを以下に挙げます。
達成しやすいサービス
・光回線
光回線は、同時に通信する競合利用者が、無線環境に比較して少ないです。また、自宅で利用するので、日中は利用せず、夜間の遅い時間帯の利用が増えます。その結果、100mbpsを達成しやすい環境になっています。
達成しにくいサービス
・無線回線
Wi-Fi、WiMAX、4G-LTEなどの無線通信環境は、多数の端末が頻繁に接続しやすい環境になっているので、競合利用者が増加しやすいです。また、空間を飛んでいく中で信号が劣化しやすく、再送頻度が高まります。そのため、光回線と比較して、100mbpsを達成しにくい環境になっています。
100mbpsを出すための対策
100mbpsを出すための対策として、簡単でわかりやいものを以下に紹介します。
対策1.有線環境で利用する
有線環境で利用するようにすると、100mbpsを出しやすいです。これはつまり、有線契約を新たにし直したり、携帯端末でキャリア基地局を拾って利用している場合は、ホームルーターを導入するなど、できるだけ有線回線部分が長い環境に切り替えるこが該当します。
対策2.人が少ない場所・時間帯で利用する
人が少ない場所・時間帯で利用することも効果的です。特に屋外の無線環境についてあてはまります。同時接続端末数が多いほど、基地局の性能を分割して利用することになるので、通信速度が著しく低下するからです。
対策3.できるだけ障害物が少ない場所で利用する
できるだけ障害物が少ない場所で利用することも、有効です。これも屋外の無線環境があてはまる対策です。無線電波での利用周波数は、技術の進展とともに高い周波数領域にシフトしていますが、周波数が高くなるほど障害物を回り込みにくい性質があり、遮蔽されやすくなります。ですので、障害物ができるだけ少ない場所を選んで利用するということは、単純ですが効果的な対策なのです。
まとめ
どの通信事業者も広告ではGbpsや、数百Mbpsという値を多く使っています。その結果、ついつい100mbpsってそんなに速くないのかな、と感じてしまいがちですが、実際はそんなことはまったくありません。100mbpsであれば、どんな高画質の動画もストリーミングで快適に視聴できます。ということは、どんな用途でもこなせる十分な速度だということです。実のところ、広告される値とはかけ離れたこの100mbpsでさえ、実測値として達成するのは難しいほどです。100mbpsの通信環境で利用したい方は、契約を十分な速さに変更するだけでなく、本記事で紹介した情報を参考にして、できるだけ快適な環境を維持するよう工夫してください。