pingを改善したい!オンラインゲームをやっていると、動作に遅延やラグを感じることはありませんか?
例えばボタンを入力しているのにキャラクターが固まっていたり、理由もわからず突然死んだり、相手が急に目の前に現れたりするような現象です。
その原因の1つとして、ゲームのサーバーからの応答が遅いことが考えられます。
応答速度の指標となるのが「ping値」という値です。ping値とは自分の端末からデータを送信してから、実際に宛先のサーバーから応答が返ってくるまでの時間を表しています。
この記事では、ping値を改善するにはどのような方法があるかご紹介します。
ping値を改善することで快適にオンラインゲームができる環境を構築し、ストレスなくゲームをプレイできるようにしていきましょう。
ping値の目安
ping値の改善について詳細をご紹介する前に、実際に起きている動作遅延がping値の改善により解消できる可能性があるかどうかを確認しましょう。そのためには、自分の環境下でのping値を測定する必要があります。
ping値の測定方法
ping値を測定するにはどのような方法があるのでしょうか?
ping値を測定するには、pingというコマンドを利用します。Windowsであれば「コマンドプロンプト」、Macであれば「ターミナル」にコマンドを打ち込むことで簡単に対象のサーバーとの応答にかかる時間を測定することができます。
また、いくつかのタイトルではゲーム内の設定などでping値を表示することができるゲームも存在します。
詳しくは下記記事をご確認ください。
ping値の高い・低いとは
ping値を測定することにより、自分のネットワーク環境がオンラインゲームに適している環境かどうかを定量的に判断することができます。ここではどのような基準で判断すれば良いのかをご紹介します。
ping値は小さい(低い)ほど速い(快適)
前述した通り、ping値とは自分の端末からデータを送信してから、実際に宛先のサーバーから応答が返ってくるまでの「時間」を表しています。
そのため、ping値は小さければ小さいほどサーバーからの応答にかかる時間が短くなります。つまり、自分がボタンを押してから実際に画面にアクションが反映されるまでの時間が短くなることで、その分快適にゲームが動作するようになります。
では、どの程度の値であれば快適にプレイできるのでしょうか。オンラインゲームではサーバーとのping値が50msを上回るとラグを感じるようになり、100msを超えると明らかなラグが発生するようになると言われています。
また、FPSや激しいアクションなどの、より精密な動きの求められるゲームでは20msを下回るように調整するのが目安となります。
この記事ではping値を20ms以下に抑える事を目標とし、その改善方法を紹介します。
ちなみにping値は時間を表しているので、単位は「秒」になります。msはミリセカンド、つまり1/1000秒のことです。
ping値が遅い(高い)原因
では、なぜping値が高くなってしまうのでしょうか?自分の端末とオンラインゲームのサーバーとの間は、複数の機器や回線で接続されており、構成は非常に複雑です。そのため、ping値には様々な要素が影響しますが、高くなってしまう主な要因としては以下のようなものがあげられます。
1.機器のスペックや機能が不足している
・自分の端末(PCやPS4等)
・ルーターやONU
2.経由する回線が細い帯域のものを利用している
・自分の端末と自宅のルーターの間の回線
・インターネットの回線
3.経由する回線が圧迫されている
・自分の端末と自宅のルーターの間の回線
・インターネットの回線
3.経由する回線の長さ
・自分の端末とサーバーとの間の回線の長さ
【基本編】ping値の改善(下げる)方法4選
ここからは、ping値を高くする原因を解消し、ping値を改善していく方法をご紹介します。前述した通り、ping値は様々な要因が影響し、そのそれぞれの要因が相互に関連しています。そのため、下記にある改善策を複数組み合わせて、改善するまで試行錯誤をしていく必要があります。まず始めに確認して欲しい基本的な事項をご紹介します。
解決策1: PCやPS4等の再起動を行う
まずはここから確認しましょう。これで改善するケースも多いです。
PCやPS4等の端末は、複数のプロセスやアプリケーションを実施することができます。自分が意識していなくても、バックグラウンドでプロセスが動き、自分が利用できる帯域を圧迫していることがよくあります。
まずは機器の再起動を行うことで、他のアプリケーションを終了し、ゲームに必要な帯域が確保できるようにします。
解決策2: ルーターの再起動を行う
また、ルーターの再起動も有効な解決策の1つです。ルーターはゲームに必要なデータを端末とサーバーの間でやり取りする役割を果たしています。様々な通信を行う際にルーターの処理が遅くなり、ping値が大きくなることがあります。再起動はその状態を解消してくれる方法ですので、是非試してみてください。
解決策3: 他の端末が同時にインターネットに接続しないように設定する
ルーターに設定されているネットワークの利用可能帯域には最大値があります。複数の端末で同時に同じルーターに接続する場合、どうしてもその帯域を共有して利用することになりますので、速度が遅くなってしまいます。これが回線が混んでいるという状態です。オンラインゲームをやる場合はゲームをプレイする以外の端末ははルーターとの接続を切断するようにしましょう。
ping値の改善につながるはずです。
解決策4: 無線LAN機器の近くに端末を設置する
無線通信は様々な要素に影響され、ネットワークの速度に大きく影響します。理論値では電波の強度は距離の2乗に比例して減衰します。そのため、無線LAN機器であるWi-Fiルーター等から少し離れただけでも電波は非常に弱くなってしまいます。また、壁などの障害物によって不安定になる場合もあります。
そのため、無線LANを利用して通信している場合、できるだけ無線LAN機器の近くに端末を設置しましょう。
非常に簡単なことですが、これだけでもping値が大きく改善する可能性があります。
【応用編】ping値の改善(下げる)方法4選
上記はインターネットに接続する上で前提となる非常に基本的な対策です。もしあまり改善が見られず、ping値が50msを上回っているような場合には、より踏み込んだ下記の方法を試してみてください。
解決策5: より近いロケーションのサーバーを選択する
ping値の改善には、端末とサーバー感の距離をできるだけ短くすることが有効です。オンラインゲームの中には、サーバーの地理的な位置を選択できるタイトルも存在します。その場合、少しでも距離が違うとping値が大きく異なりますので、最も近いロケーションのサーバーを選択するようにしましょう。
解決策6: より高速なインターネットサービスを利用する
自分の端末とサーバーの間では、主にインターネットを経由してデータがやり取りされます。高速で、帯域の大きなインターネットの回線サービスを利用すれば、より多くのデータを遅延なくやり取りすることが可能となります。そのため、ネットワーク回線のサービス品質を向上させることでping値が改善される可能性があります。
例えばnuro光というサービスでは、非常に高速な帯域を利用することができ、回線の混雑にも強いため、快適にオンラインゲームを楽しむことが可能です。
詳しくは以下をご確認ください。
https://www.nuro.jp/hikari/
解決策7: 適切な無線LAN規格を利用してネットワークに接続する
無線LANは、IEEEという標準化団体によって、国際的な標準規格が定められています。それがIEEE802.11です。その中でも語尾にアルファベットを付与することでいくつかに細分化されているのですが、それぞれの規格によって利用できる最大の速度や、特徴に違いがあります。
例えば家庭用のWi-Fiでよく利用される規格としては、「.11a」「.11b」「.11g」「.11n」「.11ac」等がよく利用されています。この中でも理論上最大の速度を出すことができる規格が「.11ac」です。通信速度は最大で6.9Gbpsを利用することができますが、5GHz帯であるため、電波は遠くまで届きません。
古いWi-Fiルーターでは「.11ac」を利用することができないものもありますので、お使いのルーターを確認し、規格ごとの特徴を把握した上で適切な規格に切り替えてネットワークに接続するようにしてみてください。
解決策8: ルーターに有線で接続する
端末から自宅のルーターまでを無線LANで接続している場合は、有線で接続することを考慮してみてください。前述した通り、無線LANは環境による影響を受けやすいです。また、無線通信の規格で定められている回線速度の最大値は、有線の規格で利用できる速度よりも遅いことが多いです。
そのため、有線接続にすることで、無線に比べて通信が非常に安定するようになります。
【発展編】ping値が安定しない時の改善方法4選
応用編までの解決策で、ping値は改善されることが多いと思います。しかし、この時点でping値が40~50ms以上の値を示すようであれば、ネットワーク提供サービス自体に問題がある可能性もあります。その場合は上記解決策6に記載したようにインターネットのプロバイダーの変更を検討してみるのが良いでしょう。
また、ping値が概ね30ms以下の値になっており、ある程度快適に動作する場合においても、FPSやアクションなど、より高速な動作環境を求めるのであれば下記の方法を確認してみてください。
解決策9: ping最適化ソフトを利用する
非常に簡単に試すことのできる方法の1つとして、ping改善ソフトを利用するという解決策があります。その仕組はソフトウェアによって様々ですが、転送されるデータに優先順位付けをすることで自動的にping値の改善を行ってくれる製品が多いです。例えば下記のようなソフトウェアが存在します。
Dragon for ELECOM
cFosSpeed
WTFast
解決策10: 有線LANのケーブルを変更する
有線LANのケーブルには複数の規格があります。LANケーブルの規格は「カテゴリー」と呼ばれ、数字とアルファベットで表されています。例えば10Gbpsの速度を利用したい場合は、カテゴリー6Aよりも新しい規格のケーブルを選択する必要があります。LANケーブルの購入の際には、カテゴリーが「8」「7A」「7」「6A」を選ぶようにして、カテゴリーが「6」「5e」「5」のものは選択しない方が良いでしょう。また、カテゴリー6は最大で1Gbpsの速度のため、6Aの1/10の速度しか出すことができません。一見似ていますが、大きく速度が異なるので注意が必要です。
もし古いLANケーブルを利用している場合、ケーブルが通信遅延を発生させる要因になる可能性がありますので、ping値改善のために、ぜひ確認してみてください。
解決策11: スペックの高いPCやPS4を使用する
端末自体の性能もping値を改善する重要な要素の1つです。PC等の端末は、CPUやメモリー等様々なコンポーネントが付随していますが、ここで注目すべきは端末が持つLANカードが対応している規格です。LANは端末からのデータの出入り口となりますので、できるだけ大量のデータを送受信できる規格に対応していれば、ネットワーク回線の帯域を十分に利用することができます。そのため、より高速な規格に対応しているスペックの高い端末を利用することでping値の改善につながると考えられます。
通常普及しているPCでは1000Base-Tという規格に対応している製品がほとんどです。ただ、一部の製品ではその10倍の速度を持つ10Gbase-Tという規格に対応しています。まだあまり普及していないようですが、10Gbase-T対応のLANカードをもつPCでは安くても15万円以上の価格になることが多いです。
もしより高速なゲーム環境を求める場合はLANカードの性能にもこだわって検討してみてください。
解決策12: スペックの高いルーターを使用する
ルーター自体のスペックもping値に影響してきます。ルーターの処理能力は送られてきたデータの出力時間に大きく関わります。ルーターのCPU使用率が高くなってしまうと送受信したいデータを転送するのに時間がかかったり、データが転送できない場合もあります。もしより良い環境を求めるのであればルーターの処理能力にもこだわることをおすすめします。
また、CPUの周波数(Hz)だけでは一概に処理能力を表すことはできません。そこで、よりコア数の多いものを優先して選ぶのが良いでしょう。コアを2つ搭載した「デュアルコア」のものや、コアを4つ搭載した「クアッドコア」のモデルであれば複数の処理を並列に行うことが可能となり、より迅速にデータ転送を行うことができます。
ルーターの中には、ゲーム用のゲーミングルーターという製品も販売されています。ゲーミングルーターの中にはラグの大きな遠隔距離へのデータ送受信をブロックするなど、ping値を最小限にする機能が付帯している製品もありますので、ping値を20ms以下に抑えたい人は是非利用してみてください。
ゲーミングルーターの中では例えば下記がおすすめです。
ASUS ゲーミングWi-Fi無線ルーターRT-AC86U
デュアルコアであり、IEEE802.11acにも対応しています。さらに、ping改善ソフトウェアである「WTFast」が機能として含まれており、有線LANによる接続にも対応しています。ルーター選定の参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、ping値を改善させる方法をいくつかご紹介しました。
ping値は様々な要素に影響され、少しの設定変更や環境の変更で大きく改善することができます。上記でご紹介した方法をいくつか試し、自分のプレイしたいオンラインゲームに必要なping値を目指すようにしてみてください。