IPv4とIPv6の違いは?初心者にもわかりやすい解説

いまや家庭用のインターネット回線でも、いまや光回線を使うことが一般的です。
また、最近この光回線を選ぶときによく聞く言葉に「IPv6」という言葉があります。どうやら、現在のインターネットは「IPv4」というもので、それと比べて「IPv6」は新しい技術らしいのですが、そもそも「IPとは一体なんなのか」「IPv4とIPv6で一体何がどう違うのか」わからない人も多いのではないでしょうか。この記事は、これから光回線を契約し、インターネットを活用していこうとする人に対して、インターネットをより便利に使いこなしていくための「IPv4」「IPv6」の違いについて解説します。

IPv4とIPv6は何が違う?

ipv4 ipv6
まず最初に、少しだけ技術的な面からIPv4とIPv6の違いについて見ていくことにしましょう。実はIPv6が出現した背景には、全世界で急速に増加したインターネットの利用者数があるのです。ではなぜこのインターネット利用者の増加がIPv6の出現につながったのでしょうか。

そもそもIPアドレスって?

IP アドレスとは、インターネットに接続されたコンピュータなどに、それぞれ固有につけられた住所や番地のようなものです。つまり世界中のコンピュータで、重複の無いIPアドレスを用いることによって、インターネットに接続された世界中のコンピュータなどを特定することができ、それぞれのコンピュータ間のデータのやりとりができるわけです。
具体的にIPアドレスは「172.16.254.1」のような数字の羅列で表記されているのですが、コンピュータ内部ではこの数字を2進数として理解しているため、表面上表されれいる数字以上に、多くの数のコンピュータを識別できるわけなのです。

IPv4とIPv6の理論上の違い

IPv4とIPv6の違いは、郵便番号が7桁に変わったり、携帯電話番号に080が追加されたりしたことと同じ理由によるものです。つまり、これまでのIPv4ではインターネットを利用するコンピュータが増えたことにより、インターネットに接続するコンピュータを識別するための番号が不足したということなのです。
IPv4では、IPアドレス 4 桁で、0 と 1の組み合わせ を 32 個使ってインターネットに接続しているコンピュータを識別しており、最大に使用できるコンピュータは理論的には42億台となります。一方で、IPv6ではアドレス 16 桁、0 と 1の組み合わせを 128 個使って表現することができます。つまり 42 億×42 億×42 億×42 億 台という無限大ともいえる膨大な数のコンピュータに固有の番号を振ることができるというわけです。

なぜIPv6を導入する必要があるのか

IPv6が発表される以前からも、DHCPなどの技術によって固定IPアドレスを使わず、インターネットに接続するたびに使用するIPアドレスを割り振るなど、限られたIPアドレスを有効に使用するための工夫がなされてきました。しかしながら、近年スマートフォンの普及やIoTの進化による家電やさまざまな産業機械等でもインターネットに接続することが一般的になりつつあります。つまり、企業や家庭内においてもインターネットに接続する機器が増え、しかも常時インターネットに接続するケースも多いことからも、IPアドレスを潤沢に使えることにはメリットがあるでしょう。

さらに、昨今世界的な問題ともされているサイバーテロへの対策としても、IPv6は有効です。インターネット上で、悪事を働こうとするハッカーは、傍受した通信に含まれている「パケット」という情報から「パケットキャプチャー」というツールを使って簡単に情報を解析できてしまうのです。つまりIPv4でそのまま情報を送ってしまえば、パケットの中身がその解析ツールで「丸見え」になってしまうのです。これを防止するために、これまでもインターネット上でパスワードを送信するような場合には、SSL証明書(https)といった通信パケットを暗号化する対策を行なっていました。これがIPv6では暗号化通信機能が標準とされており、暗号化されていない「平文」での通信が行われなくなったのです。これからも暗号化通信の相手が偽者ではないことを保証するために第三者機関が発行するSSL証明書は使われるでしょうが、こうした通信の暗号化をはじめ、IPv6はセキュリティに関する機能がIPv4よりも豊富にあり、セキュリティに優れているというのも特徴的だといえるでしょう。

IPv4とIPv6の実用面での違い

ipv4v6 速度
技術面では、世界的なIPアドレスの不足やセキュリティ対策面でIPv6はメリットがあるようですが、実際に使用する側から見てそのメリットはあるのでしょうか。また「現在使っている」もしくは「申し込みを検討している」プロバイダーはIPv6に対応しているのかが気になるところでしょう。ここでは速度や安定性、そしてIPv6に対応しているプロバイダやその申し込み方法など、使う側からみたIPv4とIPv6の違いについて説明します。

IPv4とIPv6に速度や安定性で違いはあるのか

最近インターネットでIPv6について検索すると、「IPv6は速い!最強!」といった記事も見かけるようになりました。確かにIPv4に比べてIPv6は新しい技術ですから、その速度も速いだろうと思う人も少なからずいるのではないかと思います。
しかし、実は「IPv6には速度が速くなる」という特徴は一切ありません。つまりインターネット回線速度自体には、IPv6は影響しないといってもいいのです。しかし、回線そのものに影響はなくても、インターネットでの情報伝達を速くする仕組み(接続方式)が改善され、結果的にインターネットが快適に利用できるようになるのです。これはIPv4と比較して、IPv6状況下においてのみ使える接続方式「IPoE接続(ネイティブ接続)」が速いことによるものです。では、このIPoE接続とはいったいどのようなものなのでしょうか。

■IPv4でのインターネット利用の問題点
IPoE接続は日本国内においては2010年代以降に普及しはじめた接続方式で、インターネット回線の混雑に伴う速度遅延トラブルの解決策として注目されつつあります。これはそれまでのIPパケット伝送方式である「PPPoE接続(トンネル接続)」と比べ、通信性能のボトルネックになりやすいISP相互接続点(POI)を経由しないという特徴があります。このISP相互接続点(POI)とは、NTTの回線設備(フレッツ網)とインターネットプロバイダのちょうど中間に位置する通信設備のことで、PPPoE接続方式ではインターネット利用者が必ずこの設備を通過するためプロバイダーの加入者が増えても、この設備がNTTなどの通信事業者の所有であるためになかなか改善がなされず、ユーザーからの処理要求が増えても、待ちが発生するためにインターネットの処理遅延の原因となっていたのです。
■IPv6で利用できるIPoE接続で、インターネットの処理が速くなり安定する
IPv6によってIPoE接続が標準的に利用できるようになりました。これによりインターネット通信で性能上のボトルネックとなっていた、ISP相互接続点(POI)を経由することなくインターネットに接続できるようになったのです。さらにIPoE接続では、NTTなどの回線事業者とプロバイダ各社との相互接続点となる通信設備の所有権がプロバイダ各社になったのです。これにより自社のサービスの通信遅延のボトルネックを解消することができ、例えば通信速度の遅延が起きる前に、自社の判断により柔軟に設備投資が行えることなど、プロバイダ各社にとって自社のサービス改善がやりやすくなったといえるのです。その結果プロバイダ各社は、常に自社の通信設備のキャパシティに余裕を持たせることができ、これまで夜間などに発生していた混雑とは無縁の状態を維持し続けることができるようなるというわけです。

つまり「IPv6は速い IPv6 IPoEは速い」と主張される理由は、IPv6により回線速度自体が速くなることではなく、IPv6によって提供できるIPoE接続により、インターネットが混雑しにくくなるということなのです。ですから、たとえIPv6に対応しているプロバイダーであっても、従来型のPPPoE接続では、POIが混雑しやすく結果的にインターネットが遅くなりやすいので注意が必要というわけなのです。

IPv6でIPv4のコンピュータとやりとりできるのか?

IPv4 とIPv6のコンピュータ間でデータのやりとりはできるのでしょうか。実はIPv4 と IPv6では 互換性がないとされています。これはテレビのアナログ放送と地上デジタル放送の違いと似ており、地上デジタル放送を見るためには地上デジタル放送対応のテレビもしくはチューナーが必要なのと同じ考え方です。また、現在のインターネットはほとんどがIPv4系Webサイトのみで構成されています。ですから自宅のパソコンからIPv6通信で直接やりとりできる相手先のWebサイトはあまり多くありません。しかし、ユーザー側から見れば、この点はあまり気にする必要はありません。なぜなら多くのプロバイダが、IPv4とIPv6を相互に変換する仕組みを提供しており、利用者側がこの違いを意識する必要がないということです。これはテレビでいえば、プロバイダがチューナーの役割を果たしているということなのです。

IPv6を提供しているプロバイダ

IPv6で通信するには、光回線に加えて、IPv6に対応しているプロバイダと契約する必要があります。多くのプロバイダの場合は、すでに提供しているサービスのメニューやオプションで対応できるので、すでに契約しているプロバイダの契約に変更やオプションの追加をすることで対応できます。ただこれからインターネットを始める人や、このタイミングでプロバイダ変更を考えている人もいるのではないでしょうか。ここでは、現在IPv6に対応している主なプロバイダについて紹介します。
■GMO
東証一部上場で、インターネット関連事業を幅広く手がけるGMOが展開するIPv6プラス対応のプロバイダです。このサービスの特徴は、ドコモスマートフォンユーザー向けのセット割引があり、ドコモのスマートフォンユーザーが、ドコモ光とセットでGMOをプロバイダとして契約した場合、毎月のプロバイダ費用が割引となる特典があります。また市販で5,000円程度はするIPv6対応のブロートバンドルータが無料でレンタルできるのも魅力的です。ドコモスマートフォンのユーザーでこれからIPv6でインターネットを始めたい人にはオススメです。
■ビッグローブ
ビッグローブは、インターネットプロバイダでもトップ5に入る最大手ともいえるサービスで、知名度高く実績も長いサービスです。またサポートの電話が繋がりやすいことや対応がいいことにも定評があり、初心者におすすめのプロバイダともいえるでしょう。またビッグローブは2017年からKDDIの100%子会社となったこともあり、auスマートフォンとのセット割があることも魅力的です。大手プロバイダならではの実績と信頼感を求めるなら、オススメのプロバイダです。
■@nifty
@niftyは、インターネットの黎明期から存在する大手プロバイダの1つです。現在は、プロバイダ市場で業界7位の中堅プロバイダという位置づけですが、IPv6接続にはしっかりと対応しています。また、@niftyもauスマートフォンとのセット割があり、その割引額もビッグローブと同額です。ただしビッグローブと比較すると月額料金と最低利用機関に若干の違いあるので、この両者を比較して、自分にあったプロバイダを選択するのもいいかもしれません。
■DMM.COM
動画配信サイトで有名なDMM.COMも、IPv6に対応した大手プロバイダの1つです。大手3キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)のスマートフォンとのセット割引こそありませんが、そのかわりに自社の格安SIMとのセット割が用意されていることが特徴的です。現在、格安SIMへの切り替えに興味がある人なら、DMM光のv6プラスの申込と同じタイミングで、DMMの格安SIMへの切り替えるのも良いかもしれません。
■So-net
SONYの関連会社が運営するプロバイダで、こちらも大手プロバイダの1つです。こちらもauスマートフォンとのセット割があるほか、工事費やセキュリティ対策、ブロードバンドルーターのレンタル費用を含めて月額費用を抑えたプランを打ち出しているのが特徴的です。初期費用を抑えたい人は検討に値するプロバイダではないでしょうか。

IPv6の申込みはどうするの?

IPv6を利用するためには、インターネット回線とプロバイダーの両方をIPv6に対応する必要があります。新規に申し込む場合は、IPv6に対応した光回線やプロバイダ契約を比較しながら、自分にメリットのある組み合わせで申し込み、契約すれば問題ありません。一方で、すでに光回線やプロバイダと契約している場合もそれほど難しいことはありません。まずNTTの「フレッツ光」など大手の通信事業者の光回線サービスでは、数年前からIPv6対応を行なっている場合もあります。またほとんどのプロバイダでも、コース変更やオプションでIPv6対応ができるようになっています。まずは自分が契約している回線事業者やプロバイダに、IPv6に対応するにはどのような対応や変更が必要かについて、ホームページや電話で確認することをオススメします。

IPv6か確認する方法

実は、光回線やプロバイダーの契約時期によっては、特に通信事業者やプロバイダーの契約を変更することなく、すでにIPv6に対応できている場合もあります。まずは以下のサイトを参考にして、自分のインターネット環境がIPv6に対応できているかどうかを確認してみましょう。

あなたの IPv6 接続性をテストしましょう
https://test-ipv6.com/index.html.ja_JP
IPv6の普及を目的に、業界組織の有志が作成・公開している確認ページです。このページの中で、「あなたはIPv4インターネットのみを閲覧できるようです。」と表示されればIPv6に対応できていない状況と判断できるのです。
■So-net IPv6アドレス対応について
https://www.so-net.ne.jp/common/IPv6/
こちらは、So-netの問い合わせページの記事ですが、比較的簡単に自分の環境がIPv6なのかどうかを確認することができます。このページで「お客さまはIPv6ネットワーク環境よりこのページをご覧になっております」と表示されていれば、IPv6でインターネットに接続できているということになるのです。

結論:IPv6を導入した方がよい?

ipv6 必要
インターネットの速度という意味では、IPv6により高速になることはありませんが、いままでインターネットを利用する上でボトルネックになっていた、情報伝達を速くする仕組み(接続方式)が改善されたことにより、インターネットが快適に利用できるようになったことは事実です。さらに、セキュリティ対策が強化されていることも大きなポイントだといえるでしょう。通信事業者やプロバイダが、IPv6を打ち出したサービスを積極的に展開していることもあり、いまインターネットを利用するならIPv6を導入することをオススメします。

まとめ

IPv6は、全世界でインターネットが普及したことで、IPアドレスが不足したために発表された技術であることはまぎれもない事実です。IPアドレスの枯渇問題がIPv6により解決することで、スマートフォンやIoTの広がりなどインターネットの普及はますます広がっていくでしょう。自分のインターネット接続環境もIPv6にすることによって、この技術の進化に追随し思いを馳せることも楽しいかもしれません。