40Mbpsとは一体どの程度の速さなのか、よくご存じない方も多いでしょう。回線性能を要求する多くのサービスでは、注意書きとして推奨される回線性能についてQ&Aなどに記載があります。また、測定専門サイトや、口コミ情報などもあります。本記事では、そうした各種の情報を基にして、40Mbpsとはどのようなものなのか解説しました。本記事を読んで頂くと、40Mbpsがどの程度の速さなのか、それは遅いのか速いのか、自分の中で迷うことなく位置づけをすることができ、通信速度についての理解を一層深めることができます。それにより、通信回線についての状況判断や、不適切な契約見直しをより的確にできるようになります。
40Mbpsはどのくらいの速さ?
40Mbpsはどのくらいの速さなのか、解説します。
最大値40Mbpsと実測値40Mbps
最大値40Mbpsと実測値40Mbpsは、大きく意味が違います。その点を明確にしておきましょう。
最大40Mbps
最大40Mbpsとは、技術仕様上または契約上の上限がこの速度という意味です。どのような事業者であってもベストエフォートが前提になるので、この場合、実測値はその値を大幅に下回ります。
ベストエフォート型は以下で詳しく解説しています。
実測値40Mbps
実測値40Mbpsは、”実際に通信できている速度=体験している速度”です。前項の最大40Mbpsに比べて、遥かに快適です。実測値がどの程度出ているかは、無料サイト・アプリで測定できます。以下のリンクを参考に、実施してみてください。
実測値40Mbpsでできること
実測値40Mbpsでできることは、とても多いです。ほとんどの用途で快適に通信できます。具体的には、以下の用途が挙げられます。
・動画ストリーミングコンテンツの視聴
高解像度の動画視聴が可能です。大手コンテンツ配信事業者(以下、CD)の最高画質は、最も高いもので、4K画質(UHD)を視聴する場合の25Mbpsですから、どのCDを契約していたとしても、余裕をもって視聴できます。
・Youtubeの最高画質での視聴
Youtubeの最高画質も、前項のCDの場合と似ていて、最高で4K画質の20Mbpsが推奨となっていますので、こちらも快適に視聴することができます。
YouTubeが重いときの対処法は以下で解説しています。
・オンラインゲーム
オンラインゲームでは、RTT10ms程度が快適です。実測値40Mbpsであれば、上り回線も10Mbps以上出ていることが多いので、計算上1msに2KB程度送信できることになります。これであれば、ゲームサーバーと意思疎通するためには充分な速度です。
光・WiMAXにおける40Mbps
光・WiMAXにおける40Mbpsは一体どのような位置づけなのか解説します。
光回線の実測値40mbpsは遅い?
光回線は最高1Gbpsが標準です。そのうちの40mbpsは、比率で言えば4%です。ユーザーとしては額面1Gbpsで契約しているわけですから、あまりにも少ないと言えます。しかし、事業者としては、25人で帯域が占有されてしまうので、充分高い占有率になります。
Wi-Fiの実測値40mbpsは速い?
Wi-Fiの実測値40mbpsは速いのかどうか、解説します。
WiMAXの最大速度が40Mbpsだった
WiMAXの最大速度が40Mbpsだった時期がありました。もちろんベストエフォートです。この時点での体感速度はもっと低いことになりますから、実測値40Mbpsは、UQユーザーであれば着実に進歩を実感できる値ですね。
WiMAXの低速化
WiMAXの低速化が2015年に実施されました。WiMAXは2013年に後継規格のWiMAX2+が導入された時点では、下り最高速度40Mbpsだったのですが、その後2015年に、WiMAX2+が220Mbpsに高速化した際に、帯域幅を3分の1に削減されてしまい、13.3Mbpsに低下しました。ですから、現在の実測値40Mbpsは、WiMAX回線の通信速度を遥かに上回っています。
WiMAX2+の高速化
WiMAX2+の高速化によって、40mbpsの水準は相対的に下がってきています。UQは、WiMAX2+回線を継続利用したまま、通信技術の改良によって中身としては徐々に高速化していく、という施策をしています。具体的には、以下の技術を採用し、更に改良しています。
・4x4MIMO
4x4MIMOとは、アンテナを送信側4本・受信側4本で同時並行に通信する技術です。4本のアンテナを1チャネルとして利用すると、1本の場合に比較して4倍の速度が出ます。
・キャリアアグリゲーション
キャリアアグリゲーションとは、異なる周波数の搬送波(キャリア。データを乗せる電波のこと)を複数束ねて理論的に1つのチャネルとして扱うことで、通信速度を向上するものです。この搬送波をキャリアと言います。例えば、搬送波1つの場合に比較して、搬送波が2つであれば、2倍の通信速度になるわけです。
これらの技術により、現在では最高速度1Gbpsを達成しているので、WiMAX2+回線としての実測値40Mbpsは、かなり低い水準と言えます。
下り40Mbpsと上り40Mbpsどっちが大事?
下り40Mbpsと上り40Mbpsどっちが大事かと言うと、オンラインゲーム以外の用途では、下り40Mbpsの方が大事です。それぞれ具体例を挙げます。
下り40Mbps
下り40Mbpsは、主としてサーバーからコンテンツをダウンロードして利用するという状況で、重要になります。この場合、アップロードする情報はほとんど数Kbps程度の情報送信で済んでしまいます。例えば、以下の用途があります。
下り速度が遅いときの対処法は以下で解説しています。
動画視聴
動画視聴では、コンテンツのダウンロードやストリーミングのため、高速な下り回線速度が必要ですが、アップロードするのはHTTPリクエスト程度の軽量な情報です。
動画が遅いときの対処法は以下で解説しています。
写真・イラストサイト閲覧
前項の動画と同様の状況になります。上り回線速度は不要です。
SNS閲覧
SNS閲覧も、前項と同様です。チャットで会話をするので、上り回線に送出するデータが増えますが、テキストですから、ほとんど問題はありません。様々なユーザーが公開する動画や画像を見るタイムラインが最もデータ容量が必要であり、下り回線速度の方が重要です。
シングルプレイヤーゲーム
シングルプレイヤーゲームでは、サーバーがプレイヤー間の情報を同期する必要がありません。手元の端末のみでほとんどの処理を進められるので、アップデートやコンテンツの追加ダウンロードのために下り回線速度が高速であれば充分です。
上り40Mbps
上り40Mbpsは、大容量データ、または大量のデータをサーバーに短時間で送信する必要がある場合に、重要になります。例えば以下の用途があります。
オンラインゲーム
オンラインゲームでは、サーバーがプレイヤー間の情報を同期するために、常時プレイヤーからサーバーへ情報を送信しているため、上り40Mbpsの方が重要です。
コンテンツ制作
コンテンツ制作を日常的にする人にとっても、上り40Mbpsの方が重要です。例えば、イラスト・写真・動画・3次元モデルなどの大容量コンテンツを制作する人です。このような人は、サーバーへのアップロードを日常的かつ頻繁に行います。特に昨今は、クラウドサーバーにバックアップを置いたり、クラウドサーバー上で直接編集作業できる環境が普及しているので、上り回線速度が直接制作活動の効率に直結する環境になっています。そのため、上り回線速度の重要性がより高いのです。
動画閲覧に必要な速度
先述したように、動画閲覧に必要な速度は、40Mbpsであれば充分余裕があります。これをマルチポート出力にした場合は、速度にどのような影響があるのでしょうか?
マルチポート出力の場合
ローカルのディスプレイポートがマルチポートでも、40Mbpsのストリーミング映像を転送しているとき、ボトルネックになることはありません。例えば、HDMIであれば以下の転送速度なので、非常に高速だからです。
・HDMI 1.0〜HDMI 1.2 165MHz(4.95Gbps)
・HDMI 1.3〜1.4 340MHz(10.2Gbps)
・HDMI 2.0 600MHz(18Gbps)
・HDMI 2.1 1.2GHz(48Gbps)
ネットワークパケットを構築したり、送受信する処理はソフトウェア部分の割合が少なくないです。しかも、帯域幅も時分割されていて限られています。ですが、ローカルマシンの場合、伝送距離がきわめて短く、かつチップ性能を独占できるので、信号の伝達速度は比較にならないほど高速です。
オンラインゲームは上り・下り双方の実測値で40Mbps
オンラインゲームは上り・下り双方の実測値で40Mbpsあると理想的です。ネットワーク回線は時分割多重方式で、これはデジタルパルスを高速に送信する方式なので、もし送るデータが100KBしかなくても、実測値で40Mbpsが出る通信環境であれば、その速さで送信されるので、RTTが非常に良好になり、快適にプレイできるようになります。ただし、注意すべき点としては、下り回線だけが高速でも、上りが低速な場合、トータルとしてのRTTは遅くなりますので、快適にプレイすることが難しくなるということです。オンラインゲームを快適に楽しむには、上り・下り両方が充分高速であることが求められます。
まとめ
40Mbpsはどの程度の速さなのか、解説してきました。最高40Mbpsだと、実測値はかなり低下します。ですが、実測値40Mbpsであれば、最高画質の映像作品も視聴できますし、オンラインゲームも快適です。どのような用途でも不便はありません。もしネットワーク回線があまり快適ではないな、と感じる方は、まずは実測値としてどの程度の速度が出ているのか確認しましょう。40Mbpsという数字だけ惑わされてはいけません。実際に体験できている数値なのか、それとも広告としての数字でしかないのか、よく吟味しましょう。本当に自分の目的に合った回線を利用できているのか判断し、もしそうでない場合は、回線契約を見直すことが必要です。