回線速度を正確に計測!正しい測定方法&スピードテストの信頼性

回線速度測定は明確な値が提示されます。ですがそれは、果たしてどの程度正確なのでしょうか?また計測方法はどんなものがあり、どのような特徴があるのでしょうか?本記事では、回線速度測定に関する基礎知識を解説し、有用な測定サイトを紹介します。本記事を参考にして頂くと、回線速度測定が速やかにできるだけでなく、その結果の信頼性を自分で検討することができるようになります。また、その信頼性を向上する基本的な方法もわかります。

回線速度の測定は正確?計測方法の種類

回線速度の測定は正確なのでしょうか?ここでは、計測方法の種類を紹介し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

ダウンロード方式

ダミーファイルを測定先サーバーとの間でダウンロード・アップロードして、その結果からそれぞれの回線速度を算出する方式です

・メリット
短時間で回線を飽和させることができます。これにより、回線の最高性能を測定することができます。他の方式で最高性能を測定するよりも効率的で正確です。

・デメリット
①キャッシュを無効化するため、毎回ダミーデータを生成するか、ダミーデータの中身を更新します。これにより、準備に時間がかかります。

②バースト性の通信になるため、他のバースト通信が重なると正確な結果が得られなくなります。

FLASH方式

FLASH方式は、過去にブラウザでアニメーションを再生する方法として普及した埋め込みプログラムを利用して計測する方式です。動作の記述がスクリプト言語なので、回線速度測定もできるというわけです。

・メリット
アニメーションで表示されるので、今何をしているのかわかりやすく、見ていて楽しいです。

・デメリット
①FLASHを動かすプログラムが介在するため、その性能の影響を受けます。その結果、回線速度が実際より遅く算出されます。

②FLASHは、他のWeb関連技術が成熟したことで、サポートが終了しています。そのため、時間の経過とともに利用できなくなります。

HTML5方式

HTML5方式は、HTML5およびJavascriptと、サーバー側モジュールを使って、回線速度を測定する方式です。

・メリット
①規格が汎用的で、環境ごとの差異が小さいです。そのため、多くのブラウザでサポートされています。

②ブラウザゲームやインターネット閲覧のための測定をしたい場合、ブラウザの負荷が測定結果に含まれることが、正確さに寄与します。

・デメリット
FLASH方式と同様、ブラウザの動作による遅延が発生するため、ブラウザが関与しない測定結果を得たい場合は、実際の回線速度よりも遅い結果が得られます。

TCP/IP方式

TCP/IP方式は、サーバーとの間に軽量プログラムによるTCP/IPの直接通信を確立して計測する方式です。

・メリット
余分なプログラムが最小限になるので、最も正確な結果を得ることができます。特にコンソールのコマンドとして利用できる場合に顕著です。

・デメリット
①Javascriptのようなスクリプト言語よりも開発コストがかかるため、ツールの数が少ないです。

②プログラムの実装方法がOSに依存するので、予めOSごとのバージョンを導入する必要があり、手間がかかります。

回線速度を正確に計測するおすすめスピードテスト

回線速度を正確に計測するおすすめスピードテストをいくつか紹介します。以下で、おすすめの理由を1つずつ詳しく解説します。

nPerf.com

nPerf.comは、世界中のサーバー(有志によるホストマシン含む)から任意の1つを選択肢して回線速度を測定できます。そのため、利用目的にできるだけ近いサーバーを選択することができます。また、以下の特徴によって正確さを高めています。

①瞬時に回線速度を飽和
これは、回線速度の余力を残さず最大の通信性能を短時間で計測するという意味です。これに時間がかかるとキャリアから異常な通信として遮断されやすくなります。

②15秒間かけてじっくり計測
この特徴は、できるだけ多くのパケット送受信試験を行っているということです。計測結果は統計的平均値ですので、試験回数が多いほどより妥当な指標が得られる性質があります。ですから、15秒間かけてじっくり計測することは、結果の正確性を高めています。

③最高5%・最低5%のデータ除外
この特徴は、測定結果のうち、発生頻度の低いデータ=極端な例外的結果を除外することを意味しています。これにより、確率的により発生しやすい=定常的な状態により近いデータを残して、計測結果を得ることができます。これもやはり、正確性を向上させています。

URL:https://www.nperf.com/ja/

スピードテスト.jp

スピードテスト.jpは、上下回線速度・ping値・ジッターを測定することができます。測定結果の扱いは、nPerf.comに似ています。データベースに蓄積されているので、別のページでグラフで確認することができますし、また、世界中にサーバーがあり、任意のサーバーに対して測定することができるので、nPerfと同様、目的とする環境に近い形で測定できることもポイントです。

URL: https://xn--zcka2bjc9dzp.jp/

Wild Speed.com

WildSpeed.comは、40秒間程度かけてじっくり回線速度を計測します。得られる結果は上下の回線速度・上下のRTTですので、最小限ですが、試験サンプルが多く得られるので、短時間で終わる試験よりもより正確な値が得られています。また、『測定品質』という項目も重要です。回線速度の測定結果は、バラつくほどバースト通信の影響を受けていて、妥当性が低くなります。WildSpeed.comでは、その程度を『測定品質』という項目で点数化しており、直感的に理解できます。

URL:http://wild-speed.jp/netspeed/index.html

スピードテストプラスアルファ

スピードテストプラスアルファは、上下回線の速度計測ができます。このサイトは利用者の測定結果を蓄積しており、都道府県別・回線別にランキングや一覧を見ることができます。これにより利用者は、所在地ごとの地域性が視覚的にわかり、その点に関して、他のサイトよりもより正確な状況を把握できます。

URL:https://wifinomori.com/speed/reports/latest

USEN インターネット回線スピードテスト

USENインターネット回線スピードテストは、基本的な『上り速度・下り速度・ping値』に加えて、ジッターの計測ができます。これは送信パケットの到着時刻が遅れてずれることです。これがひどくなると、動画・音声にノイズが入りやすくなったり、到着待ち時間の蓄積が発生します。ジッターが測定できることは、回線品質をより正確に把握できるということなので、おすすめです。

URL:https://speedtest.gate02.ne.jp/

回線速度の正しい測定方法

回線速度の正しい測定方法について解説します。ポイントは、回線速度は統計的な結論として得られる物だという点です。つまり、繰り返すほど妥当だと言える値になります。その点をふまえて、以下の方法を意識して測定しましょう。

1.時間帯を分けて計測回数を増やす

時間帯を分けて計測回数を増やすことが大事なポイントの1つです。その理由は、時間帯によって利用者の生活パターンが変わるため、回線負荷が変動するからです。各時間帯で、単一の計測をする場合は、最低限10回程度の計測を実施し、平均の速度を算出する必要があります。測定サイトが自動で複数回測定する場合で、かつあまりにも結果が悪い場合は、バースト通信の影響があると思われるので、2~3回測定し直すのが無難です。

2.快適な速度とは

快適な速度とは、多少の回線変動を受けても安定して通信できる速度です。動画サイトなどの推奨値ちょうどの回線速度では、回線負荷が上昇したときにすぐに視聴に問題が現れます。そうなるとストレスを感じる頻度が上がるということなので、推奨値よりもできるだけ高い値、できれば+50%~+100%の実測値を確保することが望ましいです。

スピードテストの精度や信頼性は?結果は信じていいの?

スピードテストの精度や信頼性はどうなのでしょうか?結果は信じていいのでしょうか?その答えを先に述べておくと、「統計的な平均値として、概ね妥当であるので、信じてよい」というものになります。以下の2つのポイントをおさえて実施するようにしましょう。

回線速度の測定方法は以下の記事でも解説しています。

スピードテストによって結果が異なる?

スピードテストによって結果が異なるというのは本当だと思いますか?これは「本当」です。なぜなら、回線上のトラフィックというのは、常時不規則に変動しているからです。利用者によって、操作のタイミングや、常駐しているソフトウェア、利用時間や適用している機能が様々なので、トラフィックが常に一定であることはありません。そのため、スピードテストの結果も、一定の速度の値に定まるということはないのです。

スピードテストの結果を比較するのがよいか

スピードテストの結果を比較するのがよいか、という点についての回答は、「比較するのが良い」です。前項で述べたように、スピードテストの結果は統計的な平均値です。かつ、季節や地域による変動要因もあります。そのため、多くの利用者のスピードテストの結果を参考にして、自分の値が速いのか・遅いのか・いつ利用すると快適なのかなど、性能評価するための客観的な判断材料を増やすのが望ましいです。

まとめ

回線状況はその時々で変動します。安定している場合もあれば、複雑に大きく変動する場合もあります。これは、利用者の生活パターンや利用環境・利用目的に応じて発生するトラフィックがバラバラだからです。そんなバラバラの状況で性能を測定するということは、統計的な値(平均・最大・最小・偏差など)によって評価するしかありません。そして統計的な値は、基になるデータ数が多いほど正確な値になります。ここが回線速度測定の最も重要なポイントです。また、通信事業者の回線においても利用者の生活パターンにおいても季節性・地域性があるので、複数の時間帯での測定・適切な所在地にあるサーバーとの間での測定、という点もやはり正確さに直結する大事なポイントです。これらの点を踏まえて測定サイト・アプリを選定し、効果的に利用しましょう。